─── 魂の叫び、あるいは「やりすぎた中二病」への懺悔 ───
いや、待て待て待て。
「私はこの星の血潮に触れた」 って、お前。 ただ庭で泥だらけになって、井戸の水を汲み上げただけだろうが!
「沈黙を破った瞬間」とか格好つけてるけど、実際は 「シュコシュコ」 っていう無機質なポンプの音と、私の 「うおおおお出たあああ!」 っていう近所迷惑な咆哮が響き渡ってただけだからな。
「黄金の残像」とか言いつつ、視界に入ってたのは 魔改造した無骨なオーガ と、泥まみれの軍手。 冷静に考えろ。40過ぎたおっさんが、庭を「戦場」と呼び、土埃を「祝祭の花びら」と見なしているんだぞ。
……今のなしだ! 忘れてくれ!
あー、いや、でも本当に水が出た瞬間はこれくらいのポエムを詠まないとやってられないレベルで感動したんだ。 「渇望は、まだ止まらない」なんて書いちゃったけど、正直に言おう。 今の本当の渇望は、この泥を早く洗い流して、冷えたビールを喉に流し込むことだ。
魔改造オーガ、その圧倒的な「理(ことわり)」
「あまり強い言葉を使うなよ。弱く見えるぞ」。 そんな有名な台詞が脳裏をよぎるが、この際どうでもいい。 目の前の事実に、言葉など無力だ。
魔改造を施したオーガ。 それまで私を拒絶し続けていた硬い地盤が、まるで熟した果実のように、容易くその身を差し出していく。 30分で1メートル。 この圧倒的な沈下速度こそが、庭という名の戦場に刻まれた揺るぎない真理だ。
「オーガで穿ち、井戸掘り器で掬う」。 この単純な反復の果てに、異変は静かに訪れた。
「……注いだ水よりも、戻ってくる水の方が多い?」
その微かな違和感は、確信へと変わる。 ポンプを稼働させた瞬間、シュコシュコという音が、歓喜の産声に変わった。
無限の命が、溢れ出す
水だ。 数千年もこの地の底を流れていたであろう、透き通るような水脈。 戦いとは、絶望することだ。 だが、その絶望を抜けた先にしか、この透明な喜びは存在しない。
感無量。 この一言で片付けるにはあまりに重く、清らかな水が今、私の庭を黄金色に染め上げていく。
……まあ、実際は泥水でベチャベチャなんだけどな!
物語は、まだ終わらない
さて、水は出た。 だが、ここで満足するのは、真の開拓者ではないだろう。 鞘管(サヤカン)を継ぎ足す余力はまだある。
もう少しだけ、この深淵を掘り下げてみたい。 この先に眠る、さらなる「真実」を見据えるために。
ただ、垂直に。
ひたすらに「個」としての力を地底へ叩きつける。 舞い散る土埃すらも、
今は祝祭の花びらのように見える。
PROJECT: TERRESTRIAL DEEP DIGGING
だが、渇望はまだ、止まりはしない。


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